2019年1月8日火曜日

音のチカラ

大晦日から新年に変わると同時に、港に停泊中の船の汽笛がいっせいに「ヴォー」と鳴り渡ります。冬らしいキーンとした空気に鳴り響く その汽笛は特別な音です。
子供だった頃も いまか いまかと港近くの公園で、汽笛を待つ忘れられない時でした。
除夜の変わり目は 年の終わりと初めの特別な時です。過ぎて行った年の記憶には 悲しかったことや 辛かったことなどもあったと思いますが、同時にこれから迎える新しい年への期待や希望に 胸がはずみます。
大きな貨物船や客船から小さな個人のボートまでが いっせいに鳴らす汽笛は、条例などで決まっているわけではなく、除夜の暗黙の約束のようですが 背筋がピンとのびるような気がして 音の持つチカラを感じます。

写真は夕方ですが…

また 除夜の汽笛だけではなく、特別な記憶に残る音があります。

親しかった方が亡くなり、その後に続く葬儀などで忙しく立ち働くことにより 悲しみに沈んでいる間もなく過ぎていましたが やがて出棺の時を迎えます。それまで忙しく立ち働いていた人々も、会話に笑顔をみせていた人も、その場に立ち合った人は、出棺の時に鳴らされるホーンの音に 一瞬我にかえり、親しかった人を失ったことを実感して 涙を流す人もいます。



音は多くの人に一斉に届く 強い訴求力を持っています。
また その音色、音質などにより、訴えかける内容を瞬時に伝えます。
わたしたちは日常生活を、「五感」という5つの感覚を活用して暮らしています。視覚 聴覚 触覚 嗅覚 味覚です。その守備範囲は それぞれに特徴がありますが、伝達の速さ拡さでは聴覚でしょう。そのため 津波など緊急の連絡に使われるのが防災警報です。
まず 音で注意を早く拡く喚起してから その内容を伝えます。
防災以外にも 救急車のサイレンにより道路の走行の優先を伝え、消防車のサイレンにより火事の緊急性を伝えます。これらの音は、耳が音をキャッチすると同時に その意味するところを理解するでしょう。緊急時に拡く、正確に、迅速に伝える方法は さまざまに研究されていますが、今は聴覚に訴える警報が適しているようです。



広告デザインにおいては、「サウンドロゴ」という耳に働きかける 音によるロゴタイプがあります。コマーシャルでナレーションが終わった後などに使われる独自の “ピッポ ピッパ” などの音階のある音がサウンドロゴです。視覚で見るロゴタイプと同様に、独自のサウンドを作曲し、CI(Corporate Identification design)の一環として使用されます。
サウンドロゴの最初の頃は、音の認識として特定の概念が認知されずに、著作権の問題がおこりましたが、現在はその著作権は 音商標として認められています。PCの起動音、ボタンなどの指示音はすでに音商標が認められています。
TVなどを ながら見していて視線が外れても、サウンドロゴが聞こえてくることにより商品やサービスなどを知ることができます。


人の聴覚に働きかける音の持つ力を、あらためて考えさせられた 除夜のいっせい汽笛の音でした。





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