2019年3月9日土曜日

味覚の地図



先日 大好物の穴子のお寿司をいただきました。それは“うまい!”の一言でした。

私たちの日常で 食事は大きな役割を占めます。大好きな料理を目の前にした時、多くの人は口中に その味を思い出し、じんわりと唾液が湧き出てくるような経験をしたことがあるでしょう。
好物を食べた時の幸福感!その余韻など味覚について考えてみました。


味覚はウィキペディアでは、下記のように書かれています。
「味覚は、動物の五感の一つであり食する物質に応じて認識される感覚である。生物学的には、甘味 酸味 塩味 苦味 旨味 の5つが基本味に位置づけられる。基本味の受容器は人の場合は主に舌にある。基本味が他の要素(嗅覚 視覚 記憶など)で拡張された知覚心理学的な感覚としての味は、風味(ふうみ)と呼ばれることが多い」

味覚で思い浮かぶのは、杉浦康平氏が創った[味覚地図世界の四大料理を比較する]です。日本料理、中国料理、フランス料理、インド料理の4つの料理がもたらす味覚体験を視覚化したものです。
料理は口に入り、どんどん変化し、喉を通り、胃に落ちてゆきます。その間の 味の感じ方は人により違うこともあり、普遍性が弱く 定着性もあまりないと言えるでしょう。
その特徴をふまえながらも、味覚を可視化した[味覚地図]に強い印象を受けました。


「味覚地図ー世界の四大料理を比較する」

[味覚地図]の説明では、食研究家の味覚体験にもとづき計量化し、味の変化、量の推移、満足度(黄金色の雲や虹で表現)など、刻々の味覚体験に加え、食卓上の道具や飲物なども記しています。

◉日本料理  
小さな皿や小鉢がつぎつぎに供される「列島型」
◉中華料理  
複数の皿料理がほぼ同時に出され、複雑な味の組合わせで陶酔感を誘い出す「小集団型」
◉フランス料理  
メインにボリュームたっぷりの肉料理がそびえたつ「アルプス山脈型」 
◉インド料理   
皿に盛られた複数のカレーとライスを、右手で巧みに混ぜ合わせ口に運び、その辛みが続く「ガンジス河の流れ型
                       (「味覚地図−世界の四大料理を比較する」から)

 

それぞれの料理を可視化することにより、その味の特徴を客観的につかめると いろいろ生かすことができます。
レストランなどでは、お客が料理をどのように感じているかをタイムラインにそって掴むことが出来るので、どのタイミングで口直しのシャンパンやシャーベットなどを出すか…などのサービスにも生かせます。


このような「味覚地図」は、概念地図と呼ばれるカテゴリーの地図です。
一般的に地図は、どこか(地形図など) 誰か(家系図など)などを表すために、図や記号 文字など他の要素との関係を図化することによって、理解につなげるためのものですが、地図の世界は非常に多彩で 奥深い興味深い分野です。
中でも 通常では見えないものを見える化する概念地図は、新しい発見やいろいろな展開が期待されます。
表現は 紙主体の二次元から、コンピュータによる三次元も加わり、その幅は飛躍的に広がりましたが、アイディアは常にシンプルです。



参考文献:「時間のヒダ、空間のシワ…[時間地図]の試み」 杉浦康平 ダイアグラム・コレクション 鹿島出版












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