2020年11月10日火曜日

会話の冗長度

冗長度という言葉があります。そして 冗長度は会話の中にもあります。

正しくは冗長性(冗長量)と言います。情報理論における用語で、あるメッセージを転送するのに使われているビット数から、その情報の必須部分のビット数を引いた値です。
おおまかに言えば、あるメッセージを転送する際に無駄に使われている部分の量を指す。
とウィキペデアでは説明されています。


社会がコロナ感染防止のため日々の生活が変わりました。密閉、密集、密接の3密を守り、ソーシャルディスタンス、マスク、手洗いが必須となりました。
仕事においても ほとんどの会議、打ち合わせがリモートになりました。ウェブ会議のツールは、相手の顔やしぐさなどが見えるとても有効なツールです。
しかし ウェブ会議ならではの、さまざまな困りごとも出てきました。中でも気になるのは、その会議で交わされる会話には、無駄話や横道が少ないことです。会議なんだから必要なことだけでいいでしょう。と言われそうですが、対面の会議では誰かが話をしていて同調すると「ああ!その手があったか」とか「そう そうですよねー」などの相槌を打ったり、逆に「そりゃないでしょ…」などの言葉が入ったり、そこから話が逸れて時には話の横道の方が盛り上がることさえあります。

ところがウェブ会議の場合アプリケーションや設定にもよりますが、画面には話している人が大きくメインに映りますので、相槌や無駄口を挟むと話をさえぎるばかりでなく時には画面をさえぎることもあり、対面会話のように気軽に挟み込むのは憚かられます。
つまり 会話に相槌や横道のような息抜きなどの無駄がないのです。


この相槌や無駄話しは「会話における冗長度」と言ってもいいでしょう。会話に何パーセントの冗長度があるかによって、内容への理解や会話後の印象が大きく違ってくると言われています。
ベテランのアナウンサーや 慣れた司会者がインタビューをしている時の会話は、内容にかかわらず的確な相槌やたとえを入れたりして聞きやすく、主題もすんなりと耳に入ってきます。これに対して 慣れていない解説者や研究者だと本論のみが多く、疲れてしまいます。
これは会話に冗長度が的確にあるか、ほとんどないかによるのです。

車や自転車転のハンドルにも”遊び”と言われる可動域の範囲が設定されています。
いきなりハンドルが、あまり敏感に反応すると危ないのでしょう。これも運転における冗長度と言えるかもしれません。


コミュニケーションには、この冗長度がとても大事なのです。
ウェブ会議では会話の冗長度が、とても低いと言われています。そのためか 会話が硬く、弾まない気がします。
対面の場だと相手の顔の表情や、装飾品だったり持ち物などにも話題が飛んだりして雑談が始まり、楽しい気分や時には興味深いことなどに話が発展することさえあります。
会話の持つコミュニケーション力は、このような「会話の冗長度」とも言える部分にかかっています。


Web会議は、感染症防止としてや遠隔地からのリモートワークが可能になるなど仕事でも私生活でも欠かせないツールです。そして 社会の状況がどのような事態になっても、人と人とのコミュニケーションの必要性はさらに増すとでしょう。
どのようなツール上でも、冗長度の高い豊かなコミュニケーションを作り上げていく方法やルールが、いろいろ出来てくることを願っています。








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